百合若と白嵩神社。①


2022年のとある日から、大分市の白嵩神社(白嵩社)の存在を知った。

その頃は、その社には誰もいないような感じだった。

白嵩神社を知るきっかけとなったのは、Kさん。
Kさんは、その付近に約17年前から縁があり、その縁の話をわたしにしてくれたのがきっかけだった。

もちろん、Kさんも白嵩神社の存在は知っていた。
しかし、それまではそこまで気にしてなかったようだが、わたしに話をしてから、なんとなく、気になり始めたようだ。


しかし、すでにKさんは、龍だ空海だとキーワードが来ていて、そのキーワードをわたしが解説し伝えていたので、大忙しだった。

(Kさんは、急にあちこちに行くことになっては、行く場所、行く場所、空海や密教などの情報が入ってきていた。)


そんなある日。
2023年のことだったと思う。

Kさんと一緒に食事をする機会があった。
おもむろにKさんが、

「いくちゃん、百合若大臣って知ってる?」

と、尋ねてきたので、

「え?あー、なんか名前は聞いたことありますね。」

 と
答えた。

すると、

「あ、そうなんだ。実は、つい数日前から、急に百合若大臣のことが、キーワードとして入ってくるようになって。
私は、そんな人、知らないからさ、調べたのよ。
そしたら、あの白嵩神社のご祭神だったの。」


「え?そんなことあります?」


それから、わたしも百合若大臣のことを調べた。


百合若大臣は、弓の名手で、鉄の弓を引くことができる唯一の存在だった。

時代は平安。百合若は、大臣として豊後の国(現大分県)を統治していた。
ある時、モンゴルから侵攻があると知り、仲間と共に、玄界島(現福岡県)に渡り、攻防。侵攻を防いだ。

寝ずに攻防し疲れ切った百合若は、その場で2〜3日、寝入ってしまった。

目を覚ました頃は、なんと、仲間は百合若をおいて豊後に帰ってしまっていたのだ。

百合若を残して帰った仲間のうちに、別府貞澄という部下がいた。貞澄は天皇に攻防の報告をする際、百合若は戦死したと伝え、手柄を自分のものにした。

豊後に帰ると、貞澄は豊後の大臣となった。
貞澄は百合若の妻に、百合若の戦死を伝え、自分の妻になるよう言い寄る。
しかし、妻は、
「主人は、絶対に生きております。」
と相手にしない。

苛立った、貞澄は、妻の親友の女性を人質に取り殺めてしまう。

深い悲しみの中、渋々妻は、貞澄の妻となるが、貞澄は、妻を牢屋に入れてしまう。

「百合若は、絶対に生きている・・・」
妻は、それでも希望を失わなかった。




百合若には、玄界島で弓で獲物を獲り、しのいでいた。
そんなある日、空から鷹が飛んできた。百合若の相棒の鷹だった。
再会を喜ぶと百合若は、自分の着物をちぎり、そこに指先を切った血で文字を書いた。それを、相棒の鷹に託し、妻に届けてほしいと願った。
百合若にとっては、唯一の方法だった。


なんと鷹は、はるばる妻の元に行き着いたのだ。
妻は、鷹に気づき、百合若からの伝言を読む。
「はやり、生きている・・」
そう確信すると、妻も筆をとり、百合若に届けて欲しいと鷹に託したのだ。



ある日、百合若は、一羽の鳥が生き絶えていることに気づいた。
見てみると、それは自分の相棒の鷹だった。
海の上の長距離の往復に、最後の力を振り絞り、飛んで来たのだろう。
百合若は鷹を思い、たいそう悲しんだ。その鷹に、何かが託されていることに気づき、広げてみた。
すると、そこには、


「あなたを裏切ったのは、別府貞澄。貞澄は、豊後の大臣となり、私を妻にし、私は牢に押し込められております。豊後の国の為になる事は何一つせず、民たちは絶望しきっております。」


という妻からの伝言が書かれていた。



怒った百合若は、なんとしても豊後の国に帰らなくてはならないと、意志を強くした。

すると、その願いが天に通じたのか、一艘の難破船が漂着したのだ。

百合若はその難破船をなおして、遂に玄界島を脱出したのだ。



豊後の国では、貞澄が力自慢の部下を集めて、鉄の弓をひかせる競技を行っていた。

部下はこぞって挑戦するが、1人はおろか、何人もが束になっても、弓は引けなかった。


その時、屋根の上で大声で笑う、髭も髪も伸び放題の男が現れた。

その男が、

「その弓、わしが引いてやろう。」

と言う。

貞澄は苛立ち、

「ならば、この弓を引けなければ、その時は、お前の首を斬る!」

と言った。


男は、誰も引けなかった鉄の弓を、1人で引き、その弓を、貞澄に向けた。


「貞澄!私が誰だかわかるか!」

と叫んだ。

貞澄は、そこでようやく何かに気づき、

「お、お前は・・・百合若!」



その瞬間、男が放った矢は見事に貞澄の心臓を貫いた。


そう、百合若が戻ってきたのだ。この鉄の弓は、百合若の弓だったのだ。


百合若は、妻とも再会を果たし、貞澄の悪事は天皇にも伝わった。

百合若は、再び豊後の国の大臣となり、国は豊かになっていった。



という話だった。(わたしの解釈である。)


百合若がどんな存在だったかも、概ね理解した。
もちろん、この話は昔話や物語となっているので、いろいろな脚色もあるだろう。
物語の真偽性よりも、百合若の存在という方が、わたしの霊視には必要なのだ。


わたしは、再び、百合若がここに降りてきたのか・・
と、解釈した。


2024年の終わりになってこそ、実際に、世界規模でいろいろなことが開示され、いろいろなことが動いていることを知っているが、

一年前の2023年の時点では、そこまでの事実は知らなかった。
しかし、この百合若を通して、わたしはKさんに、

「なんだか、世の中が大きく変わるかもしれませんね。それが、この豊後だけを指すのか、世界を指すのかは分かりませんが。
そのタイミングだから、百合若がおりてきたのでは?百合若は、国を統治するだけのチカラがあるのですから。」

と伝えた。

Kさんも、

「白嵩神社に、百合若がおりてきたのかもしれないね。」

と、話していた。



そして、2023年11月17日。

その日は、Kさんがご主人と一緒に、その付近に用事があって行っていた。

Kさんは、別の用事をしているときに、ご主人が、
「俺、ちょっと白嵩神社に挨拶してくるわ。」
と、向かった。


しばらくして、ご主人が、Kさんの元に戻ったのだが、その顔が、なんとも言えないキョトンとした顔だったという。

「どうしたの?なんかあった?」

Kさんが話しかけると、

「いやぁ・・なんかさ・・俺・・たぶん・・」

「え?どしたの?」

「俺・・たぶん、その百合若?って神様?・・
俺、今・・会ったと思う・・」


「え?どういうこと?」


聞けば、参拝をしたときに、神殿の方を見たら、

髪の毛はボーボーな感じで、上は着物みたいなものを着ていて、下はズボンというか袴の裾を絞ったようなもので、足元は紐で巻いたようだ。
背中に、棒のようなものを背負っていた。
背丈はあまり高くないが、引き締まった身体つきをしていた。
その人は、神社から、街を見下ろす方向を向いていて、
(山の斜面のようなところに白嵩神社はある。そして、そこから、大分市街を見下ろせるロケーションなのだ。)

参拝する自分に気づいたのか、こっちを向いた。
鷹のような引き締まった身体つきだが、眼はとても優しいのが伝わる。

その時、ビックリしてご主人の体は硬直状態。

すると、その人はこちらに近づいてきて、
「おぉおぉ、よく来たな。」
と、笑顔で握手を求められた感覚だった。
ご主人に対して、優しい眼でニッコリ笑い、
「よろしく頼む。」
と言ったらしい。


その瞬間、我に返って、頭の中が混乱する中、Kさんの元に戻ったようだ。


・・・
やっぱり、百合若は降りてきたのだ。
そして、この世の行き先を見据えていたのだろう。


百合若が示すことを実現するためには、人間が動く必要がある。

ご主人も、その主軸として認められたのだ。



(つづく)