あなたが子どもの頃。


これは、今から6年くらい前の話になるのだが、

当時、わたしは子どもが通う私立幼稚園の保護者会の会長を務めていた。
その中で、とある研修会に出席したときのこと。

研修会では、講演をしてくださる講師の方もいて、その時は、地元のタレントさんが登壇して、メディアの視点から、いろいろな話をしてくださった。

わたしの個人的な印象としては、少々、幼稚園教育や、保護者に向けての研修という時点では、無理矢理感もあった印象だったが、それでも一生懸命お話ししてくださったことは、今でも覚えている。


講演のあと、質疑応答のような時間があり、講師に直接、質疑ができる時間が設けられた。


何人かの方が、積極的に質疑を行っていた中で、ある保護者(男性)が(その方も、どこかの幼稚園の保護者会の会長さんである。)手を挙げた。


その方は、
「昨今の、特にテレビメディアの内容によっては、子どもにとって悪影響を与え兼ねない。
そういう内容をもっと排除するような動きを、出演者側は行わないのか?
視聴する側のことを考えての番組作りをしていただきたい。」

というような、苦言も兼ねての質疑だった。


それに対して、講師の方は、言葉を選びながらも、
「事実として、タレント側に権限がないのが実情であるのと同時に、すべてが「悪なのか」という視点も、個人的には持っている。」
というようなことを、おっしゃっていたが、保護者の方は、何度も食い下がっていた。


これについて、わたしは、1人でものすごく葛藤をしていた。

このタイミングで、手を挙げるか否か、ものすごく迷っていた。


というのも、
そもそも、『子どもへの悪影響』という言葉を使い、あたかも、子どもの味方だということを示しているのかもしれないが、わたしにはそうは見えなかったからだ。

要は、テレビで不適切なことをやると、子どもが真似をするから、どうにかしてくれ!
ということなのだろうが、

だとしたら、それは、あなたの子どもの問題でもあると、わたしは思う。



あなたが子どもの頃、テレビやエンタメはもっと自由だった。
ドリフや、ひょうきん族など、子どもの好きなバラエティーを筆頭に本当に表現が自由だった。
それを、あなたも目にして、楽しんでいたはずだ。

あなたは、それを見たからと言って、すぐに真似をしていたか?

きっとしていない。
子どもの頃のあなたも、テレビでやるから面白いことを理解していたし、テレビの中のバーチャルな世界と、自分がいる現実の世界は違うと感じていたし、あの芸人がやるから面白いということも、わかっていたはずだ。

自分が真似をして面白いのではなく、それを見て楽しむということを理解していたはずだ。

つまり、

「あなたは、子どもの頃、バカだったのか?」


自分がバカじゃなかったのに、
なぜ、あなたは、自分の子どもは、バカだと思っているのか?


非常に不思議だ。


中には、親に「悪影響だ」と言われ、バラエティー番組を見せてもらえなかった人もいるだろう。

それも、見方を変えれば、
親は、あなたのことをバカだと思っていたのかもしれない。


排除するということは、親にとってはラクなことなのだ。
育てることをしないのだから。

育てるとは、考えるということでもある。

それを放棄しているのであれば、あなたも、あなたの子どももバカなのは当然。


時代は変わり、コンプライアンスが厳しくなったテレビ番組に変わり、YouTubeが人気になっている。
「やってみた動画」も、楽しいものから過激なものまで様々ある。

ヒカキンさんを筆頭に、子どもたちにも大人気になった。

いろんな動画があるが、あなたの子どもは、それを真似しているだろうか?

真似したいことは、親に許可を得てやろうとするはずだ。

何も考えずにやったり、周りが困ることを想像できなかったりするのであれば、それは動画が問題なのではなく、その子の想像力の問題。経験値が足りないのかもしれない。


「みんなが困るから、真似したらいけないよ。」
と、一言、伝えて、それで子どもがどう考えるか?
それを観測ながら、同時に子どもを信じることも必要なはずだ。


それできずに、過干渉になるか、放棄するかだとしたら、それはあなたの問題だ。


・・・
こういったことを、その場でも発言しようかと、迷ったが、迷っているうちに、その方の質疑が終わった。
(発言することによって、その方が吊るし上げになるのであれば、それも相応しくないなとも考え、いろんな可能性を考えていた。)


それから6年の間、いろんな方と接する中で、その当時を彷彿させる相談は数多くあった。

そのほとんどは、根本が、親がラクをしたいだけのこと。

ラクをしたいあまりに、自分の子どもをバカ扱いして平気な状態に気づけない。
ということは、自分も、そうやって育てられたのだろう。

育てられたようにしか、育てられないのだから。


自分が子どもの頃、バカではなかったのに、
自分の子どもはバカだと思っている。
その時点で、他人にめちゃくちゃ失礼な認識をしている人間だと露呈していることに、あなたはいつ、気づくことができるのか?